# 【特定技能】自社支援なら支援責任者・支援担当者は誰でもなれる?「中立性」の要件に注意!
特定技能1号の外国人を雇用する企業では、外国人に対する生活支援や相談対応など、法令で定められた支援を実施する必要があります。
これらの支援を自社で行う場合(自社支援)には、「支援責任者」と「支援担当者」を選任しなければなりません。
しかし、社内の役員や従業員であれば、誰でも支援責任者・支援担当者になれるわけではありません。
特に注意が必要なのが「中立性」の要件です。
今回は、支援責任者・支援担当者の役割と、選任する際の注意点について解説します。
1.支援責任者・支援担当者とは?
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、外国人が日本で安定して働き、生活できるよう、支援計画に基づく支援を実施する必要があります。
自社支援を行う場合には、会社自体が欠格事由に該当せず、過去の中長期在留者の受入れ・管理実績や生活相談業務の経験など、法令で定められた要件を満たすとともに、適切な支援体制を整備する必要があります。
その支援体制の中心となるのが、支援責任者と支援担当者です。
【支援責任者】
外国人への支援が適切に実施されるよう、支援計画の作成や支援担当者の監督、支援状況の管理などを統括する者です。
【支援担当者】
外国人からの相談・苦情への対応、生活支援、3か月に1回以上の定期面談など、支援計画に基づく支援を実際に担当する者です。
なお、支援責任者と支援担当者は、両方の要件を満たす場合には兼任することもできます。
2.支援責任者・支援担当者には「中立性」が必要です
特定技能制度では、支援責任者・支援担当者について、外国人を監督する立場にないことなど、支援を中立的に実施できる立場であることが求められています。
なぜ、中立性が必要なのでしょうか。
例えば、外国人社員が職場の上司から不適切な指導を受けたり、労働条件について不満を抱いたりした場合を考えてみましょう。
その上司自身が支援責任者・支援担当者であれば、外国人社員は安心して相談できるでしょうか。
支援責任者・支援担当者には、外国人からの相談や苦情を適切に受け止め、必要に応じて問題の解決につなげる役割があります。
このため、外国人に対して業務上の指揮命令権や監督権限を有する者が支援責任者・支援担当者になることは、中立性の観点から問題となります。
3.直属の上司でなければよい、というわけではありません
ここは、企業が特に注意したいポイントです。
例えば、製造部門で働く特定技能外国人について、次のような組織体制を考えてみます。
社長 → 工場長 → 製造部長 → 班長 → 特定技能外国人
この場合、外国人の直属の上司である班長だけでなく、製造部長や工場長、社長についても、外国人を監督する立場にあると判断されます。
出入国在留管理庁のQ&Aでも、外国人と異なる部署に所属していても、組織図上の指揮命令系統に位置する者は適格性がないと説明されています。
つまり、直属の上司でなければよいのではなく、外国人に対する指揮命令・監督関係がないことが重要なのです。
一方、外国人に対する指揮命令権を持たない総務担当者などは、中立性の要件を満たす候補者となります。
ただし、所属部署だけでなく、実際の職務権限や業務上の関係も確認する必要があります。
4.社長の配偶者や親族なら支援担当者になれる?
もう一つ注意したいのが、代表者の配偶者や親族を支援責任者・支援担当者に選任する場合です。
例えば、社長が支援責任者・支援担当者になれないため、社長の配偶者を支援責任者・支援担当者に選任したい、と考えるのは自然な事ですが、この場合、社長の配偶者は支援責任者・支援担当者に就くことはできません。
このように代表者との親族関係や実際の職務権限などを踏まえ、中立的に支援を実施できる立場か慎重に判断する必要があります。
また、登録支援機関については、委託元企業の役員の配偶者や2親等内の親族などを支援責任者に選任することに関する制限があります。
このように、親族関係についても、支援を実施する主体や具体的な関係によって判断が異なります。
代表者の家族だから必ず選任できない、あるいは役員でなければ必ず選任できる、という単純な判断はできません。
5.自社支援を行う企業は、支援体制の確認を
特定技能外国人への支援を登録支援機関に全部委託している企業では、登録支援機関が支援体制を整備します。
一方、支援を自社で実施する場合には、企業自身が法令で定められた支援体制を整備しなければなりません。
特に次のような企業では、支援責任者・支援担当者の選任状況を確認することをおすすめします。
- 代表者の親族を支援責任者・支援担当者に選任している
- 選任していた支援責任者・支援担当者が異動・退職したとき
- 登録支援機関への委託をやめ、自社支援への切替えを検討している
支援責任者・支援担当者の選任は、単に書類上で担当者を決めればよいというものではありません。
実際の組織体制や職務権限を踏まえて、適切な人選を行うことが重要です。
6.適切な支援責任者・支援担当者を選任できない場合は?
特定技能外国人への支援は、一定の要件を満たせば企業自身で実施することができます。
しかし、自社支援を行うためには、支援責任者・支援担当者の適切な選任をはじめ、法令で定められた支援体制を整備する必要があります。
社内に中立性などの要件を満たす支援責任者・支援担当者がいない場合、そのまま自社支援を行うことはできません。
この場合、適切な人員を確保して自社支援の要件を満たすか、登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託する必要があります。
なお、支援業務の一部を外部に委託しただけでは、企業自身に求められる支援体制の要件を満たしたことにはなりません。
また、登録支援機関への全部委託によって支援体制に関する基準を満たす場合でも、外国人を受け入れる企業としての責任がなくなるわけではありません。
登録支援機関は、法令で義務付けられた「義務的支援10項目」を貴社からの委託に基づいて実施するのみであり、外国人の雇用主としての労務管理や、入管法・労働関係法令等に基づく各種義務は、登録支援機関への委託の有無にかかわらず、企業自身に課せられます。
自社支援を行うか、登録支援機関に全部委託するかは、費用面だけでなく、自社の人員配置や管理体制を踏まえて判断することが重要です。
7.自社支援は、適切な体制づくりから
特定技能外国人への支援は、登録支援機関に委託するだけでなく、一定の要件を満たせば企業自身で実施することもできます。
しかし、自社支援を行うためには、支援責任者・支援担当者の適切な選任をはじめ、相談対応、定期面談、支援記録の管理など、法令に適合した支援体制を整える必要があります。
**自社支援への切替えを検討する際には、費用面だけでなく、自社で適切な支援を実施できる体制があるかを確認することが重要です。
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